さて 今回の旅の手配は「四季の旅」社での手配。理由はしごく簡単、大阪第三ビル15Fにあって、
去年のHISより近かったから。今回もツアーではなく、手配旅行。これは一人でのツアー参加では
一人部屋料金がバカにならないのと、日程的に折り合うモノがなかったため。
航空券:
「KLMエコノミー、アムステルダム経由」で11万円。
宿:
日本手配で「ティモテル サンラザール(TimHotel St.Lazare)」
で朝食付き1泊600F。
ガイドブックなど:
「個人旅行21 パリ」昭文社
これは去年買ったものをそのまま使用。地図などをメインに使ったが、今回も一番重宝。
「ひとり歩きのフランス語自遊自在」JTB
「TVフランス語会話」と合わせて利用。基本的な会話が収められている。
が・・・なまじフランス語で問い掛けると相手も(当然)フランス語で答えてしまう。
しかもこちらのヒアリング能力を凌駕する情報が返ってくるので、慎重に利用
する必要があった。
「こぐれひでこの もっと!パリへ行こう
個人的パリ裏道案内」 主婦と生活社
実は去年の旅行前に購入してたものの、旅行には忘れるというミスをした本。
サブタイトル通り 「観光では行きそうにない裏道」を色々と紹介してある。
エッセイとしても面白くお勧めの一冊。
「パリのお菓子屋さんガイド (大森 由紀子著) 」 柴田書店
この本は前回の旅行にも携帯したもの。お菓子屋さん、パン屋さん、チョコレート屋さん
を巡るには必携の1冊。
「街物語 パリ」JTB
このガイドブックはパリ各地の観光名所の歴史・由来をまとめたもの。
旅行前に一通り読み込んでいくと街歩きがいっそう深く楽しめる1冊。
トイレがすぐ横にあるのは便利なようだが、人が入れ替わりやってくるので落着かない。
隣席はイタリア人のビジネスマン2人組。ズーーーとイタリア語でしゃべくりたおしている。
定刻とおり 11:35出発。フライトアテンダントには日本人もいて安心のサポート(?)。日本人のアテンダントは
美人、オランダ人はやはり大きい。
日本海を渡りきったあたりで昼食。前菜がスシ、メインはトリのトマトソース(洋食)か
ブタの甘酢風(和食)。機
内がやたらと寒い。座席が日陰側にあるせいか? 隣のイタリア人ともども、毛布を余分に借りる。
トイレでタバコを吸ったバカがいたらしく、後方で一モメの後、注意アナウンス。そんなバカはたたき出せとイタリ
ア人と意見一致(^^)。だいたい まだ喫煙席があること自体オカシイのだし、機内持ち込みを禁じる必要もあろう。
日本時間で17:30頃、2回目の機内食。前菜に茶蕎麦、メインはポテトグラタン。
くだんのイタリア人たちが茶
蕎麦を食べようと割り箸に悪戦苦闘。とりあえずの使い方を教えると、予想外に器用に使いこなしだす。
「パスタで鍛えてるからね、使い方が解かれば平気だよ」
ほんとかなぁ(?.?)。
「ワサビ」を使おうとするので 「辛くてスパイシーだから」と注意するも・・・・彼らは果敢なチャレンジの後、涙ぐん
でいた(^_^)。
二人はミラノから日本に商談に来た服飾関係者。大阪を拠点に金沢や京都北部などの繊維系の企業とヤリト
リがあるそうな。イタリアの話はひたすらお国自慢。
「アルバ島のトリュフを食え! フランスなんか目じゃない」
「ポルチーニ茸もこれからシーズンだ、パリから行けばいい」
などなど。お互いに不自由な英語での会話はなかなかに大変(^^)。
映画1本は「セイント」。ストーリーはまぁアクションものの標準レベル。ヒロインはなかなかにグー。もう1本は
「101」。犬のSFXがスゴイねぇーといったところか。ヨーロッパに入った頃に軽食。サンドイッチ・巻きズシ・ミニ
カップヌードルからの選択。
順調に飛行は続き、11時間かけてアムステルダムに。窓の外に広がる運河に囲まれた街並みはアストリアの
都のように美しい。
現地時間16:30 アムステルダム、スキポール空港に到着。なんと明るく、清潔なのだろう。
もちろん 「モスク
ワ空港」と比べるほうが間違ってるのだが(^^)。これが資本主義の勝利というものか。
かねての噂通り免税店は大充実。時計・カメラ・化粧品・酒といった定番に、生花、ハム・チーズなどの食料品
からダイヤモンド専門店まで。使わなかったので詳細はわからないものの、シャワールームやサウナ、カジノま
で揃っている。
ちょうど空港紹介ビデオ(?)の撮影があったのだが、カメラマンの装備がなかなかのハイテク。日本ではたいてい肩にカメラを直接載せ、職人的な技能で異動のブレなどを抑えているが、こちらはカメラへの振動をすべて吸収するフレームをマウントし、そのフレームを特製ジャケットで身体に装着。そのブレ吸収の様子は見ていて飽きない。
この充実の免税店を前に 帰りにはアレもコレも買おうと色々と皮算用。
小腹がすいたのでキャフェテリアで ミルク、サラダバー、ウィンナ入りパイをカード決済。
これで12ギルダー・・
っていくらなんだ(?.?)。ミルクの味が濃く深い。
他には「スシバー」という カウンタ売店でスモークサーモンサンドなどとならべて、握りすしがある。たしかスシ
4個で30ギルダーぐらい、えらい高価だったと思う。
パリ便は19:15発・・・が遅れに遅れ、20;15発となった。
この待ち合いで、関空からのOL3人組と知り合う。今回のKLM便で関空からパリまで向かう日本人は我々
4人だけ。彼女たちは今回が初めてのパリ。パリ3泊の後アムステルダムで1泊観光するとのこと。
20:15アムステルダムの夜景を後にしたB−737は45分でパリに。窓の外に広がる大都市パリの夜景・・・・。
「翼よ あれがパリの灯だ」
なんてお決まりのセリフが浮かんでくる(^_^)。
21:05パリ シャルル・ド・ゴール空港(Charles de Gaulle)に到着。
この空港には90年1月にトランジットで立ち寄って以来7年ぶり。前回と比べてどこか
古びた印象を持ってしまう。
独特の動く歩道や円形のメインブースに70年代の「未来」が透けて見える。万博公園などと同じテイストの「あ
の頃の未来」が建物に塗り込められている。
空港からはRERのB線でパリ北駅(Gare du Nord)へ。
パリの地下鉄やRERには独特の匂いがある。ちょっとほこりっぽい、電熱線が焦げるような匂いが微かにする
のだ。 これを嗅ぐといよいよパリを実感する。
すでに夜10:00を過ぎた北駅は人通りも少なく、暗い雰囲気。警備の制服警官サブマシンガン付きがあちこち
に立っている。これって治安が悪いってことだよなぁ。
ホテルへはタクシーで約20分のドライブ。1年ぶりのパリの夜、街灯に浮かぶ街並みに懐かしさが沸いてくる。
料金はメーターで38フラン。しかも黒人の運転手さんはその通りの額しか受け取らない。スーツケースもあるの
で+5〜10フランのはずなのに、気のいい人だ。
ホテルは「TimHotel St.Lazare」で2つ星。
そして ここでの失敗が判明。このホテルには「バスタブ付きの部屋がない」のだ。サンラザール駅(Gare
St.Lazare)の真向かいなので便利なのは確かだが、バスタブがないのはお風呂好きの私としてはちょっと
痛い(>.<)。
駅前ということもあってか、ホテル前の通りは23:00を過ぎても明るくにぎやか。ホテル側のカフェ(というより
英国風パブ)にてバゲットサンドとシードルで夜食32F。カウンターのお姉さん愛想良く、美人。
明日からの予定もそこそこに 眠ってしまう。
早朝は雨だったらしく、街路がしっとりと濡れている。くもり空で風も強いが予想外に暖かい。
さてもパリの初日なのに お天気が今一つ。 オペラ座(Opera Garnier)からバンドーム(Place
Vendome)を経由し
てパリの街並に浸っていたが、霧雨が降りしきりだす。雨宿りもかねてルーブルに向かうことにする(なんか去年
と同じパターン ^^;)。
ミュゼパス3日用を140Fにて購入。今回もメトロ駅側からの入場なので比較的スムース。
まずは日本から遠征中の百済観音へ。ここは写真撮影禁止。
日本のしかも ご近所の奈良のモノなので、フランス語での説明でも大意はつかめる(スゲーぜ
> 俺 ^.^;)。
そして「モナリザ」、「ジェリコーの筏」、「ナポレオンの戴冠式」などなどあの名作たちとの再会をはたす。いやぁ
ほんと 幾度見てもいい。
「サモトラケのニケ」も再訪。
そうそう、去年はココでタニグチさんと知り合ったんだよなぁ、あのときはホントに助かったよなぁとしみじみ。
フランス語が全然解からずに途方に暮れてた去年、フランス語が堪能なこの人のおかげでどれだけ助かったこ
とか。
まぁ「あんな幸運は2度とない」と 悟るオトナな私がいる(^^;)。そう、今回は星付レストランを予定にいれてない
のである。もちろん、言葉ができなくても サービスは受けれるだろうが、ああしたお店は
キチンとフランス語が
できる人がいたほうが本当の意味で楽しめると解かったからだ。
3Fの北方絵画の小品なども鑑賞しつつも、だんだん圧倒されていく…。ルーブルのその質と量を受けとめるの
はかなりなエネルギーを必要とするようだ。
11:30、晴れてきたようなのでヴィレット((La Villette)からのマルタン運河(Canal
St.Martin)クルーズを目指すこ
とにする。
このクルーズは去年 「面白いですよ」と進められたものの、時間の都合で行きそびれていたもの。今回の旅
の大きなテーマを「行きそびれたトコロへ行く」と この時決める (おいおい
^^)。
今回、メトロのチケットは「10回パックのカルネ 48F」を使う事にする。結局5日間で30回分のカルネを消費し
たので、「Paris Visit」よりは安くついた事になる。
ほぼお昼に着いたが…しまった街中で昼食をとれば良かった。
この街は「科学産業都市」と呼ばれ、様々な技術展示を行う建物を中心にプラネタリウムやオムニマックスシア
ターなどで構成されている。カフェテリアスタイルの食堂で昼食。鳥肉の赤ワイン煮、チョコムース、チーズ各種
盛り合わせ、ミネラルで100F。ちょっと高くないか? 味は及第。量は充分すぎ。
運河クルーズが14:30出港なので、それまでの時間「潜水艦アルゴノーツ」を見学。1950年代の通常動力型
攻撃潜水艦の内部公開をメインに フランス海軍の潜水艦に関する展示をアレコレおこなっている。
ここで流れている潜水艦の歴史紹介ビデオは中々に貴重。
先の大戦時、フランス海軍が建造した「連装砲塔付き潜水艦」の映像がほんのわずか流れる。これはマニア必
見の貴重映像。あの連装砲塔が左右に可動しているのだ!!(濃ゆい話ですねぇ
^^;)
アルゴノーツの艦内も見学できるが…、小柄な日本人の私でさえその狭さに辟易としてしまい、閉塞感に息が
詰まる。いろいろな機材がある艦内は両手を広げることすらままならず、ベッドも魚雷発射管と隣あう始末。こん
なモノに乗り込んで何週間、何ヶ月もの間の生活など想像するに恐ろしい。
14:30 マルタン運河クルーズに。
基本的には予約制らしいが、空席があればその場で乗船可能。オルセー美術館前まで95F、3時間の船旅と
なる。 船の大きさからは80人ほどは余裕で乗船できるらしい。お客は定員の1/3ぐらい。私以外はみな欧
米系(後でわかったが、フランス人と英語圏の人たち)。
マルタン運河の水はキレイとは言えないが、晴れた陽射しのもとユッタリユッタリと進む船旅はリラックスできる。
運河の両岸にはパリの普段の暮らしが垣間見え、たしかに面白い。
水運業を基盤に発展したパリにとって、この運河の歴史もまた長いものらしい。
そして水位差を解消する
「閘門」と、独特のアーチが美しい橋を幾つも超えてセーヌ河へと向かうのである。
この運河の風景が日本と大きな違いを見せるのが「柵」の無いこと。何度かくぐる閘門の周辺や特に交通量の
多い場所を除いて柵がない。 その分、運河が街並みと生活に溶け込んだ風景を作り出している。もちろん
「安全」という面からは柵があった方が良いのだが、日本の都市内の河や水路の多くが
街並みと隔絶された
「ただの水路」と扱われているのと違いが際立っている。
さて、このクルーズには オジサンのガイドが付き、フランス語と英語の両方で同じ内容をガイドする。
ペスト流行に際して設立された病院、パリの音楽スタジオエリア、若者注目のナイトスポット、映画「北ホテル」
の舞台となった「北ホテル」などなど、両岸の建物の様々な由緒来歴をガイドし、この運河を舞台にした様々な
事件も紹介していく。 そして それらに交えてジョークが披露され、爆笑に包まれるほどに面白い…らしい。
そう、このクルーズの 面白さを100%堪能するには、それだけの語学力が要求されるのだった (>.<)!!
ジョークのオチが半分も解からないのがちょっと悔しい。
「セーヌ河だけを 巡る観光船バトームーシュはスペイン人観光客で一杯です。
あちらはスペイン語も含めて6ヶ国語でのガイドがありますから、彼らに人気
なんです。 でも、このマルタン運河には入れない、だからスペイン人たちは
セーヌの事を nanntoka kanntoka」
[爆笑]
あぁぁぁ オチが、オチが知りたいーーーー!(>.<)
ほぼ中間地点で、オルセー側からヴィレットに上る船とすれ違う。あちらは出港場所と時間との差なのかほぼ
満員の乗客。
閘門は全部で10個もあり、船が運河を下る時間よりも 閘門での水位差待ちをしている時間の方が長い気さえ
してくる。しかしガイドの説明が飽きさせない。 途中2Km近い地下水道ではクラリネットまで披露してくれ、反
響する地下水道に流れる音楽が雰囲気をいやでも高めてくれる。この地下水道、一定間隔に明かりとりの天
窓があり、そこからの光が水面を丸く点々と浮かび上がらせて幻想的なのだ。
そしてクライマックスのセーヌ河への乗り出し。
幾つもの橋が作るアーチのシルエットをくぐり、シテ島のノートル
ダムの尖塔を川面から眺めつつ 船はオルセーに。
このセーヌへの乗り出しがラストにあるので、ヴィレット側からの方が絶対にお勧めである。
オルセー着は17:30と予定通り。 これからオルセーに行くには時間が中途半端。
そこで昨年「ティファニーのアーミーナイフ」を買いそびれた店を目指す。ナイフそのものは昨年の内にアメリカに
滞在していた方のおかげで入手しているのだが、やはり「パリの心残り」にケリを付けたい。
その店はヴァンドーム広場のゴディバの対面にあるのだが…しかし、ウィンドウにあのナイフがない!!
店のマダムに聞くと…
「去年はたしかに扱っていたのですが、今年はもう扱っていないのです。
うちが扱わなくなったので、パリにはドコにもティファニーは無いでしょう」
な、なんとーーーー。 理由を聞く気力と、その答を理解できる語学力の両方が欠けた私はスゴスゴと店を後に
したのだった。
リヴォリ通り沿いのブライトン・ティーサロンにてオヤツ。オレンジジュース+アイス3種のセット(30F)。
ホテルに戻り、一休み。
この旅の2つめのテーマを「去年 撮れなかった夜景を撮る」にする。最初のターゲット「鉄のレース編み」こと
エッフェル塔(Tour Eiffel)をめざし、トロカデロ(Trocadero)へ。
夕食がまだだったので、広場に面したレストランに。 牡蠣と魚のポタージュ、サラダで200Fちょい。
牡蠣が美味い、美味いのーー(;.;)。
いよいよ エッフェル塔へ。ライトアップされた塔には2000年までのカウントダウンが追加されていた。ここはも
う世紀末も超えているのだ。幾枚かの写真を撮って97年のエッフェルを焼き付ける。
エレベータの行列もさほど長くないので展望台へ。 眼下に広がるパリの夜景はしっとり落ち着いた灯かりを散
りばめていた。 さすがに夜の展望台は風も冷たく長居はできず。
こうしてパリの初日が過ぎていった。
8:30に着く。開店準備中の店が大半、ウロウロと冷やかしながら六分儀を探す。
今年も「コダックのディスク
フィルムカメラ 200F」「TVやビデオのリモコンだけ」など怪しげな品物を幾つも発見。
そして去年たしかに 航海
計測具を置いてあった店をたずねると……
「すまないねえ。今日はココには持ってきてないんだよ」
「なら 明日は?」
「明日はパリから14kmほどのオルセーってトコでの大アンティーク
祭りがあるんだよ、そっちに持ってくるから そちらにおいでなさい」
あーーそんなぁぁ (>.<)。 アーミーナイフに続き2度目の敗北だった。
だが、落胆している暇はない。今日は買い物デーなのだ(おいおい)。
11:20 メトロのオテル・ドゥ・ヴィラ(Hotel de Ville)からマリアージュ・フレイル本店(Mariage
Freres)へ。食事は
12:00〜とのことで諦める。紅茶をとりあえず5種類購入、袋詰めとはいえ、日本での価格の1/3!
さらに
ヴァニラをブルボンとタヒチ、それぞれ40F、70Fにて購入。 このタヒチ産のヴァニラの香りは
ブルボンヴァニラとは違った濃厚で蠱惑の香り。いつものカスタードクリームが情熱的に出来上がった
ご近所(でもないぞ)のスパイス店「イズラエル(Izrael」」にも足を延ばしたが、
「本日臨時休業」。
カフェにて「目玉焼き入りクレープ、サラダ、シードル」にて昼食。やはり卵が美味い。
マドレーヌ広場のフォション(Fauchon)へ向かう。 ここではパンを扱うブーランジュリー、お菓子と前菜、ジビエを
担当する店などが軒を連ねるが、中でも紅茶、コーヒー、各種瓶詰めを扱う店は日本人、欧米人などなど観光客
らしき人でごった返している。
紅茶やクッキー、茸の瓶詰め、マロンシロップ漬け、マスタード等などを買いあさる。
ここも
品物の注文
−> 注文を記録した磁気カード作成
−> 磁気カードをレジに持ち込み支払い
−> そのレシートで品物と交換
という ちょっと煩雑な販売方法。 磁気カードは導入するしてるのに、品物の注文と受け取りで
レジを往復さ
せる不便は そのまま。
地階のカフェで ババとテ・グラッセで一休み。 シロップがしっとりと染みて
ざっくりとした食感のババが美味い。
オペラ座の館内を見学。絢爛豪華なロビーなどを見て回る。残念ながら舞台は見学できず。
オペラを理解する
語学力があれば見て見たいのだが…それは次回までの宿題か。
一旦 ホテルに荷物を置いて、海洋博物館へ。 今回は見学はパスして去年の内から目をつけていた「ミニ六
分儀」(179F)を購入。まぁ ミニチュアなんで実用品ではないが、六分儀としての機能はキチンを備えている。
あとはのんびりカルチェラタン界隈の散策でも…と計画。ところが かなり激しい雨が振り出す。
しかたなくルー
ブル対面の免税店で頼まれモノをアレコレ買い出し。 さらに雨でも動ける場所の
フォーラム・デ・アル(Forum des
Halles)にて木製パズルを購入。
シェーブルバビロン(Sevres Babylone)のスーパー「ラ・グラン・エピスリー・ド・パリ(La
Grande Epicerie de Paris)」
へ。ジャム、ハーブ(ヴェルヴェイヌ)茶、プードル ダマンド、チーズ、フランボワーズ、デリカテッセンでキッシュ、
サラダ、テリーヌ、パンなどなどを購入。
ここでは 聞きかじったフランス語で 店内のお客さんに ハーブティやプードル
ダモンドの場所を教えてもらう。
彼女たちは 場所まで案内してくれるだけでなく、どのメーカーが良いだの、どうすれば
美味しく飲めるだの、そ
の他のいろんな事を教えてくれようとするが……、ジェスチャや話の流れで、おぼろげに意味が取れる程度(^^;)
ここで買った スペイン産アーモンドのプードルダモンドは アタリ!帰国してから、ごくストレートなアーモンドタル
トを焼いたのだが、その風味の素晴らしい事。 125gで17Fちょい、
お菓子作りをする方ならお土産に是非ど
うぞ。
ホテルに戻り、デリカテッセンの品々で夕食。 チーズも テリーヌも美味しい。
一人部屋でとる食事は 気楽なこ
とは気楽である。
雨も上がり、腹ごなしも兼ねて ルーブルとシャンゼリゼの夜景を撮りに向かう。
やわらかな照明にライトアップ
されたルーブルは昼間と違った魅力を放っている。
……しかしいったい今日は どれだけパリを歩いたのだろう。
今日は 今回の旅行の目玉でもある「航空宇宙博物館(Musee de l'Air et de
l'Espace)」へ。しかし、「旅行の
目玉」をいくつ抱えているのやら(^^;)。
博物館へは メトロ8号線の北端「ポルト デ ヴィレット」から152番バスで向かう。バス乗り場には9:00に到着。
メトロ出口すぐの待合室で バスを待っていると 出勤してきたらしい?
運転手や職員なども 三々五々やって
くる。なぜか彼らは 乗客の私にも「朝の挨拶」と 握手をしてくれる。残念だが、彼らの
ボンジュールの後に続く
フランス語は 全然解からない。
バスで30分ほどで 博物館へ、まず最初の展示は「熱気球」。そうここフランスの「空の歴史」は
モンゴルフェ兄
弟の熱気球から始まるのである。かなり気合の入った展示は 当時大流行したらしい「熱気球様式」とでもいう
べき ファッション・デザインの数々まで網羅。当時は絵皿や 時計など工芸品は言うに及ばず、サーベルの紋
章にまで「気球模様」があしらわれる大ブームだったようだ。
続いては 大きな体育館のような建物にところせましと展示されている。第二次大戦前ぐらいまでの各種のプロ
ペラ機。
ここでは 新婚さんらしき 日本人カップルを見かける。満面に笑みを浮かべたダンナさんと
「何故パリにまで来
て飛行機を見るの?」とあからさまに疑問の表情が浮かんだ奥さんの対比がなかなか(^_^)。
屋外展示はアリアンロケット、ミラージュシリーズ、ジェット・プロペラ併用機 等など珍しい機体がならぶ。
コンコルドの(多分 一号機)を中心にしたコンコルド館をひとつ別に用意してあるところが
フランスらしさか。
他には 駄作機(?)、珍作機がならぶ「試作機館」は、ナゼこんな機体を作ったのか?と
哲学的な思索すら沸
き上がってしまう。
だが、ソユーズが見れると期待の「宇宙館」は展示改装中(;.;)。
第二次大戦中の機体がほとんどないのは やはり負けてしまったからか?
辛苦を舐めても勝ったイギリスが「バトル オブ ブリテン」館を誇らしげに設置しているのと好対照であろう。
メトロまで戻り、駅そばのアラビア料理店にて昼食。クスクス+アラビア風ソーセージ+シードルで48F。
12:40 地下鉄を乗り継ぎオルセー(Musee
d'Orsay)に。 充実の展示にここでも圧倒される。
ここオルセーは
かつて鉄道駅だったものが大改修され美術館となったもの。 いまやルーブルと
ポンパドールの間をつなぐ美術
館としての地位を確たるものとしている。また、ここは美術館併設のレストランもその内装の豪華さで有名。
あぁ、クスクスを食うんじゃなかった…(>.<)。
豪華な内装のレストランを横目にする廊下のカフェにてハーブティーで一休み。INFUSIONとあったハーブ
ティーの中身は 最近お気に入りのヴェルヴェイヌ。
外に出たらもう15:40。天気もまたぐずついているのでオーランジュリーを諦め、デェファンス(La
Defense)へ。
パリ西側、シャンゼリエを 凱旋門を超えて まっすぐ西に進んだ先にできた
新都心がデェファンスである。
ここはパリ中心部とは大きく趣を異にし、高層ビルが幾つも建つビジネスセンター。だが、デェファンスの地下駅
は薄暗く、臭い。 地上の壮観さとのコントラストが際立っている。
かつて アルシェ サミット と その名をサミットの冠にさせた「グラン
アルシェ(Grande Arche)」、別名 新凱旋門は
大階段も含めた巨大かつシンプルな正方形のデザインをそびえさせていた。
屋上にはミュゼパスで登れるが、そのエレベータはガラス張りのゴンドラがシースルーのトーラスを駆け上るとい
うスペクタル満点なもの。高所恐怖症気味の方にはお勧めできない。屋上階ではアフリカ展を開催中。ここから
さらに露天の屋上に出ることができる。 東側には右手から左にエッフェル塔、そしてまっすぐ延びる道路の先に
凱旋門、コンコルド広場と続き、サクレクールの白い屋根がつらなる。
西側はパリのはずれの西郊外。広大な平地がなだらかな起伏を横たえている。その足元グラン
アルシェの西
裏側は墓場。
凱旋門方面へ向かうバス73番に乗るべく、バスターミナルへ。この路線だとシャンゼリゼまで
パリの街並み観
光も兼ねた移動が可能なのだ。
が、
「日曜は運休」の張り紙(;.;)。
「張り紙のフランス語が理解できた」ことを強引に喜ぶこととする。
ホテルに戻る途中のレストランで シェーブルサラダ、子牛のマスタードソース、クレームブリュレ、シードルにて
夕食139Fなり。酒が好きな割にアルコール摂取容量が小さい私にはシードルが手頃なお酒となっている。
今日は 夜景撮影もパスして 眠る…・・
RERのC線の南の終点、「ヴェルサイユ リヴ ゴーシュ シャトー(Versailles-R.G.-Chateau)」が目的地。ここを走
る2階建て列車からの眺めも楽しく、ちょっとした小旅行気分。 だが 車内はガラガラ。
有名観光地もシーズン
オフならこんなものなのかな?
駅から歩くこと10分でかの ヴェルサイユ宮殿へ
ここでアントワネットが贅の限りをつくし、アンドレとオスカルが激動の時代を駆けたのだ。
(アンドレやオスカルはおらんって )
門から建物へ続く広大な前庭は まだほんの序曲に過ぎない。ここで「今日が月曜でここが休館日」だということに
気付く。今回はこういう事が多々ある旅だ……(>.<)。
建物には入れないが、広大な庭園は見学可能……
「そら、こんなもん作って贅沢してたら革命起こるわぁ」
人にはやっていいこととイケナイことがあるとつくづく思う。
ヴェルサイユを後にしてイタリー広場(Place d'Italie)へ。
角のブーランジュリーにて昼食。 クロワッサンにキッシュ、そして「ヘルシーミート
サンドイッチ」と 片言の英語
で説明されたバゲットサンド、カフェ・ラ・クレーム。謎の「ヘルシーミート」の実態は「カニカマボコ」であった(^^;)。
午後は「パリのディープな裏町探検」に向かう。
「もっとパリへ行こう」に紹介されているサン・ドニ界隈(St.Denis)の探訪をすべく、思い出のパリ東駅(Gare
del'Est)
へ。 この駅から南へ延びるストラスブール大通りを「クスクス」を食べさせるレストランを探してタニグチさんと散策
したのだった。
この大通りの西側、サンドニ門から南へつづくサンドニ通りは洋服問屋街なのだ。いわばパリの船場、それも裏
町色の濃ゆい船場なのだ。
そして、それだけでない「濃さ」がここにはある。まだ午後2時だというのに、街の角々に派手な化粧と露出度の
高い服を着こなした女性たちが立っているのだ。そう 人類最古の職業の一つについている女性たちである。
パリジェンヌで容姿レベルが高いうえにバディラインを強調し(すぎ)た服装で街にたたずんでいる彼女たち。
だが、行き交う人はごく日常の風景としてとらえているらしい。
ディープな裏町散歩を終えて、タルトタタンの型を買うべく 製菓道具店「ドゥイルラン(Dehillerin)」へ。銅の調理
器具や、製菓器具が あの「道具屋筋」と同じ埃っぽさの店内トコロせましと並べられている。
ここの販売は フォションなどよりもさらに複雑。
それぞれの商品に付けられた商品番号を手がかりに 「番号簿」を使って価格を調べなければ価格は判らない。
さらに購入する商品を抱えて発注カウンターに向かい、そこで商品番号と数量を記載した伝票を作成してもらう。
それを使ってキャッシャで支払って 晴れて商品を手にすることができる。
こんな方法をとるのは、飲食店での
大量の発注を前提としているからであろうか。
…だが以上の販売方式が店内のどこかに掲示されている訳ではない。
私は足を踏み入れた とたん途方に暮れたのだった。
商品の番号が「価格」ではないのは調査済みだったが、商品入手までの手順の複雑さは理解を超えていた。
お目当てのタルトタタン型すら 商品の山から見つけることができない始末。店内をうろうろと迷いながら巡って
いる内に、東洋系の若い女性に気付く。
「え ヴ じゃぽね?」
「うい!(^^)」
助かった!
この人は東京から来ているフジタさん。早速 タルトタタン型を探してもらい、かの複雑な手順を代行していただく。
「どなたかの お土産なんですか?」
「いえ、自分で使うんです(^^;)」
「あら、パティシエさんなんですか?」
「いえいえ、素人ですよー。ちょっと趣味でして… フジタさんは?」
「私は今 勉強中なんです」
このフジタさん、お菓子の勉強に9月からパリでホームステイし、来年初めからの製菓学校入校に向けて現在は
語学勉強中とのこと。
「ヒダカさんも ご自分で作られるなら、パリは宝の山でしょう?」
「ええ、いろんな食材もありますし、この型も掘り出しモンですよ」
そう3mm厚で直径21cmの銅のタルト型が190F! 日本でならこの倍はかかる。しかも側面の「Made
in
France」の刻印がミーハー心をくすぐってくれる。
「私も今は暇をみては 先生のガイドブックを使っていろいろとお店巡りしてるんですよ」
「私も去年に続いて『パリのお菓子屋さんガイド』を頼りにいろいろと巡ってるんです」
「それって 大森先生の本じゃないですか? ビニールカバーのついた・・」
「今も持ってますよ、ほら・・ えっと 大森 由紀子さんが書いてる本」
「あっ やっぱり! 私 、日本で大森先生の弟子だったんですよー」(^_^)
いやはや世間は狭いというべきか?
フジタさんから
「ミエと ミュロ、エヴァンは必ず行くこと」
「小さいお店では昼休みに店を閉める場合もあるから、時間に注意」
といった情報を教えてもらう。
タルト型を無事入手して、お気に入りのサンウスタッシュ教会(Eglise St Eustache)へ。教会内のステンドグラスな
どの補修工事が行われていたが見学には制限なし。 ステンドグラスと石造りのコントラストを堪能する。
・あっ、今晩のゴハンに フジタさん お誘いすればよかった!
今ごろ気付いても遅いのだが(^_^;;;)。
デパート ギャラルイリーラファイエット(Galeries Lafayette)へ。
今年もファッション系のイベントを館内全体で催していて、モデルさんを迎えたライブ
パフォーマンスもあった。
かのシセイドーは イベントの一環として「リラックス マッサージ」として、日本では最近はやりの「クイックマッサ
ージ」コーナーを展開。肩揉みなどが珍しいのか、けっこうな賑わい。
最上階のカフェで一休み。去年までと違い、いわゆる「カフェテリア」形式に大改装されていた。
オーダーに悩
んだり、間違ったりしないので便利といえば便利だが、ちょっと味気ない。ここでは
クリームブリュレとジュス
オランジェにて オヤツ。
階下には「スシ・カフェ」がある。案内ポスターには「コーヒー+にぎり寿司」という
ミスマッチな写真があり、興味
深々で覗きにいったが、フツーの寿司バーであった。 「エスプレッソ+寿司」といったメニューはなかったのだ。
1Fの通り沿いでは 秋葉原デパートよろしく、いろんな実演販売屋台が活況を呈していた。日本でも良くみられる
「千切り、スライサー」などの屋台はディスプレイも実演方法も日本と変らず。
夕食は レ・カルト・ポスタル(Les Cartes Postales)にて。
なんでも 日本人シェフがやっているお店とのこと。 店はこぢんまりとした可愛らしいタイプ。
鴨のサラダ 日本風、フォアグラのソテ、スペシャルデザート、ハーフワインで430F。
鴨のコンフィをサラダ仕立て
にした前菜には細い細い繊切りにした 青紫蘇が天盛りになっていて、鴨の濃厚な油脂とのバランスが嬉しい。
ファアグラはちょっとクリスプすぎるかも。スペシャルデザートは アップルシュトゥーデルに使う紙のようにパリパ
リした生地にリンゴとアプリコットのムースを詰めたもの。
客は私の他は パリ在住の日本人ビジネスマンを出張か何かで訪ねたらしい日本人の5人組み、フランス人の
中年カップル、初老の日本人夫妻。
すぐ隣のテーブルがその日本人夫妻で 千葉からいらした 休暇中のサラリーマン夫妻。昨日までニースでバカ
ンスを楽しみ、明後日帰国とのこと。 奥さんがこちらのレストランのファンでねだって来たとのこと。
傍で見てい
ても 仲むつまじいのが良くわかる素敵なご夫婦だった。
お腹いっぱいになって、ほろ酔い気分も手伝って、ホテルまで夜のパリを散歩することに。
ひんやりした風が心
地よく、まだまだ明るいオペラ座周りをブラブラしながらホテルまで30分ほどかけて戻る。
これが 大きな間違いだったのだが、酔いの回った私は気付くことも無かった。
ついに9:00、「海外旅行保険」の医療センターに連絡。
日本人オペレータに病状報告と医療機関の手配について依頼。パリの13区にある総合病院なら日本語での
医療が受けられるとの案内だが、発熱でそこまで出かける自信がない。日本語もできるフランス人医師の往診
を依頼する。
30分ほどでドクター到着。 フランス訛りの日本語で問診・診察・投薬。
「風邪でスね。
処方箋のクスリを買って、ノンでくだサい。
あとはゆっくり休むコトね」
処方箋のクスリ、一つ一つの用量・用法とその効果を説明してくれる。抗生物質、熱冷まし、止寫薬、ビタミン剤の
4種の処方箋がでたが、これらは自分で手配しなければならない。
こうした、医薬分業は 薬歴簿管理、二重投薬の回避なども含めて、重要な意義があるのだが、独り旅の身では
クスリの入手を自分で行うハメになり、なかなかヤッカイ。
30分ほどで、ドクターの投薬が効いてきたらしく、熱も若干下がる。
ホテルから歩いて5分の薬局にて処方箋の薬剤を入手。熱でボヤっとしながらも
不思議と相手の言っているコト
が理解できている。
「パリ居住者か? 旅行者か? 」
「アレルギーはあるか?」
「このクスリは 1回に2錠、日に2回、こちらは…」
なぜ こんなにも判るのか自分で不思議。
ホテルに戻り寝る。 今日はもうこのまま無駄に過ごしても仕方ないと腹をくくったのだ……が。
11:00頃、目が覚める。 熱が引いている、頭痛も治まっている。
うーむ、効き目が顕著なクスリだ。 その分の副作用か、胸がキシムように痛い。
だが これなら、歩ける! パリ
最終日を無駄にはできない(おいおい、さっきの覚悟はどうした ^_^;;;)。
あまり 歩き回れないのは覚悟の上で、お菓子屋巡りを敢行することに。まずはショコラティエ「ジャン・ポール・
エヴァン(Jean-Paul Hevin)」とパティスリー「ミエ(Millet)」が一度に訪ねられる、「エコールミリテール(Ecole
Militaire)」駅へ。
「ミエ」は駅から歩いて5分ほど、途中は果物屋さんなどがならぶ、気安い商店街。さして大きくないその店舗には
日本人の母娘づれが3組もいて「有名店に日本人あり」を実感する。
ここでは、プチフールを100g(だいたい6つ)分と ブラジリアンというコーヒー風味のバタークリームをたっぷり
使ったスポンジベースのケーキを1切れ購入。
パリのお菓子屋さんでよく見られる、包装紙をピラミッド型に仕立てた簡単な包装は「風味を損なわないうちに
食べてね!」という心遣いだそうな。となれば 歩きながら食べるのが礼儀というもの(おいおい
^.^;)。
…美味い。 正直な話「バタークリーム」ということに 偏見を持っていたのだが、このクリームはコーヒーの香りを
軽やかに効かせて、同じくコーヒーシロップがしっとりとしみたスポンジを引き立てている。
そしてショコラティエ「エヴァン」へ。予想外にガランとして閑そうな店内は一歩入っただけで
こっくりとしたカカオの
香りに包まれる。 お菓子好きにとっては至福の場所。
味見もかねてトリュフチョコを1ついただく。レモン風味のガナッシュが蕩けだして、思わず顔がほころんでしまう。
聞くとトリュフチョコの日持ちは4日、タブレットはもっと日持ちするとのこと。自分のためのお土産もかねて、いろ
いろと買い込む。何よりも気に入ったのが「ショコラ パンプルムス」。砂糖漬けにしたグレープフルーツの皮が
チョコで包まれた一品。 ここでチョコを買う時には必ず試していただきたい。
「香辛料店イズラエル」へ向かうべくサンポール駅(St-Paul)へ。
一昨日の臨時休業が気がかりだったが、今日はやっていた。 店内には香辛料、ナッツなどがトコロせましと置
かれている。さすがにココまでくる観光客はすくないようでこちらには日本人は私一人。
ここでは艶々とした
果物の砂糖漬けと400gでたった25Fの皮剥きピスターシュを購入。
サンポール駅にもどると、駅周辺が騒がしい。 どうやら駅構内で気分を悪くして倒れた女性がいたらしく、消防車
が2台もやってきていた。幸い事故ではなく、女性の容態もごく軽いものだった。
あれやこれやでもう15:00。相変わらず胸がズキズキと痛むが体調そのものはだいぶ復活(復活というんか?)。
オノボリさんな事もしておこうと エルメス本店(Hermes)に向かう。
ここでの密かな目的は「エルメスへの道」(竹宮 恵子著)のフランス語版を探すこと。
ご存知の人も多いでしょう
が、この「エルメスへの道」は かのエルメスが社史の代わりに作成した「マンガ」なのだ。
本店に向かえばその
フランス語版が入手できるかもしれない。ここも店内の客の2/3は日本人で
厳かに聖地巡礼が行われいる。
残念ながらここに「フランス語版 エルメスへの道」はなかった。
マドレーヌ広場へ向かう途中の「虎屋 パリ店」に出くわす。
そう京都の老舗和菓子屋さんのパリ店があったのだ。店頭のメニューには「パリ店オリジナルのお品」の文字が
踊る。これは休憩せねばなるまい(^^)。ワイン風味葛きり、餡ブーション、餡トリュフ、虎屋風ココアがオリジナル
だそうで、ここでは葛きり以外の3品を選択。
ココアは抹茶で点てたもの。よく似たものが心斎橋のココア専門店「赤い鳥」にもあるが、あちらは抹茶風味の
ココア、こちらはココア風味の抹茶と 微妙に造りが違う。
店内には 日本人店長と親しげに 世間話をしている日本人女性が一人。いかにも実業家というか エグゼクティブな雰囲気のオバサンである。
そのひとが 私に気付いたのか にっこりと笑いながら 話し掛けてくる。
「まぁ、ここでもお菓子のお勉強?」
「はぁ……、そんな だいそれたモノでは…」
ココデモ?? なんでそんなコトを聞く? 誰だこの人 (?.?)
「いいえ、こうして和菓子の事を勉強するのも大事なのよ、 感心なことだわぁ」
「はぁ…」
なんで こんなに親しげに???、この人とは初対面なのに。
「……(ニコニコ ^_^)」
「あのー どこかでお会いしましたでしょうか? 私、お菓子作りは本職とかではないんですよ」
「えっ!(*.*) あらーーー。 ごめんなさい、人違いだったのね!
どうりでさっきから変だなとは思ってたの(^_^)。
いえね 私のお店にね、おとといまで、日本からベルギーに修行してる人たちが研修に来てたの。
その一人でお菓子修行してる人にそっくりなのよ」
あらまぁ! そういうこともあるのだ。 と 今度は私が驚く番。
「世界には似た誰かが3人いる」
というコトバを思いだしてしまう。
その一人がお菓子修行中とは なんとも縁を感じてしまう。
「たしかにお菓子は趣味でちょこちょこと作るには作るんです。 今日もイズラエルって食品屋さんに行ってきた
とこで…」(^^)
「じゃ、あなたはコックさんなのね?」
「へぇ??? いえいえ、コンピュータソフトでゴハン食べてる 素人ですよ」
「まぁ、あの店までわざわざ出かける素人さんはいないモノなのに(^^)。
じゃ ドルイランとかも行ってみたんじゃなくて?」
う、図星だ…(^^)。
「えぇ、タルトタタンの型を買いました」
「ぢゃもう 唯の素人じゃないわよ(^_^)。
そうそう、私のお店にも 御飯食べにいらっしゃいな。 ステラ・マリスというお店をやってるの」
と名刺をいただく。
STELLA MARIS
4 rue Arsene Houssaye 75008 Paris
Tel 01-42-89-16-22
なんとも不思議な心持ちで 虎屋を後にする。 日本人が見間違うほどに似ているその誰か…
マドレーヌ広場にまで出て、トリュフ専門店「メゾン ドゥ ラ トリュフ(Maison
de la Truffe)」にて瓶詰めトリュフを
買う。これは200Fなり。それでも日本で買うよりはズっとやすい。
デパート「プランタン(Printemps)」の地下食料品売り場で 今晩の夕食を買い込む。せっかく名刺をいただいた
ステラ・マリスにも行ってみたいが、レストランでの食事には まだ体調が追いつかない。
クロワッサン、ブリオッシュ、茸のキッシュ、サラダ、コメを葡萄の葉で包んで蒸したモノ…けっこう買い込んでるが、
量はささやかなもの。
ジュース スタンドにて レモンジュースを飲む。その場での搾りたての果汁が準備されるが、コップには2/3。
あとは添えられる水とシロップでお好みにということだそうな。
ホテルのそばのFNACにて CDを物色。 昨年は「シャンソン」を探したものの「フランス語では歌は全部
シャン
ソン」という事実の前に敗北(^^;)。
ここFNACでは CDの試聴が可能なので、私のような音楽事情に疎い者にはありがたい。また、東欧系ユダヤ人の使う「イーディッシュ」という言語での歌のCDも入手。
特に この「イーディッシュ・マスターピース」は今回の大収穫。原音は古いレコードらしく、独特のくぐもった音と
古風なメロディが部屋に「20年代のパリ、安レストラン」の空気を満たしてくれる。
もちろん、コトバが解かろうはずもなく、何を歌っているのかは全く解からないが。
ホテルにて 買い込んだ惣菜と昼の果物屋で買ったフルーツにてパリ最後の夕食。
明日の帰国に備え、買い込んだ品々を荷造りする。 今回は本がほとんどない分、楽といえば楽。
さすがにフランス語の本は買い込んでも 宝の持ち腐れになる。
9:30のチェックイン開始と同時にカウンターで座席指定。だがアムステルダム−関空では
もう「3列席の真
ん中」しか空きがない。このアムステルダム発の便に乗り継ぐ 他の都市からの飛行機でもっと早くにチェック
インが始まってしまっているのだ。
狭いエコノミー席。しかも両隣は見知らぬ人。これで13時間…。
飛行機は機材のドゴール空港到着が遅れたため、なんと1時間も遅れて出発。行きでも遅れた事を考えると欧州
内航路の時刻は遅れてしまうものなのだろうか?
こうして1時間も遅れたせいで、スキポール空港での買い物は不可能となってしまった。
空港到着と トランジッ
ト便のボーディングとはわずかに10分しか時間がなかったのだ。
さて、心配した座席だが、窓側は若い女性、通路側も若い女性と両手に華(^.-^)。
そして窓側の女性と話がはずむ。
ハンブルグ駐在の会社員の若奥さんで、結婚式に出席するために2年ぶりに大阪へ帰郷する途中とのこと。
海外駐在の苦労、ハンブルグやドイツの和食事情、魚が入手しにくい話などなどを楽しく話してくれ、こちらもこの
2年ほどで変った大阪の様子、新名所などを教え、結局 機内ではほとんど眠らずに話こんでしまう(^^;)。
機内食は 照焼き風味の焼き鳥と スチームライスの 一見焼き鳥丼風。
途中の映画は「アンナ・カレーニナ」。往年のアイドル女優 ソフィー・マルソー主演の文芸大作不倫映画(おい
おい)。
仕事の話料理談義、お菓子談義とおしゃべりは続き、ついに日本海に至る。やがて眼下に広がる姫路、神戸界隈の街に
奥さんはしきりに懐かしがる。そして ゆっくりと関空に飛行機は降り立った。
こうして、今年のパリ旅行が終わった。
いろんな小さなトラブルが重なってしまったが、それもまた旅の楽しみ。